お知らせ

2017/11/05(日)
研究コンプライアンス部門

海外遺伝資源(動植物等)を利用するには(生物多様性条約への対応)

海外遺伝資源(動植物等)を利用するには(生物多様性条約への対応

まず、遺伝資源とは何か?

生物多様性条約で、遺伝資源は「遺伝の機能的な単位を有する植物、動物、微生物、その他に由来する素材のうち、現実の、又は潜在的な価値を持つもの」と定義されています。要は、生物(+ウイルスなど)です。生物が含まれる水や土壌などの環境サンプルも含まれます。また、生物から抽出されたDNA/RNAも含まれます。

これら遺伝資源について以下のような活動をする場合、提供国の国内法を遵守し、提供国と利用者間での「情報に基づく事前の同意(PIC※)」を得ること、並びに提供国と利用者間で「相互に同意する条件(MAT※)」を設定し、利益配分を行うABS※指針に基づいた手続きが必要です。

※PICPriorInformed Consent,  ※MATMutuallyAgreed Terms

※ABSとは、遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分(Accessand Benefit-Sharing)のことです。

適切な手続きをせずに海外遺伝資源を入手する・した場合、研究の差止め、研究費申請が受理されない、発表論文が承認されないなどの可能性があります。最悪の場合提供国で逮捕されることもあります。

詳細はこちら研究者向けABS対応マニュアル https://www.iric.ibaraki.ac.jp/images/news/20180530_ABS.pdf



参考情報:

ABSの対象になる

動物、植物、微生物(ウイルスを含む)の個体やその一部(生死に関わらず、凍結や乾燥したサンプルも含みます。)

遺伝資源の利用についての伝統的知識(薬草の効果など)

*注意!*

生物から抽出されたDNA/RNAABSの対象となります。「DNA/RNAなので大丈夫」は大きな誤解です。これらを研究に用いる場合、海外に持ち出す場合はABSに関する手続きが必要となります。

たんぱく質、代謝産物などは派生物として扱われます。これらは生物多様性条約、および名古屋議定書では遺伝資源には含まれていませんが、派生物をABSの対象として国内法の規制の対象としている国も多く注意が必要です。

ABSの対象にならない(場合が多い)

遺伝子配列情報(注:ブラジル、ベトナム、インドネシア、マレーシアなど、配列情報をABSの対象とすると定めた国内法を持つ国も多数あります。)

人工合成されたDNA/RNA

公海の海洋生物(注:詳しくはhttp://nig-chizai.sakura.ne.jp/abs_tft/faq003/を御参照下さい。)

ヒト(人類)の遺伝資源 (注1:腸内細菌や寄生性・感染性の生物などはABSの対象となります。)(注2:中国は国内法でヒトもABSの対象としています。)

生物多様性条約の非締結国の遺伝資源(注:これらの国にも遺伝資源を保護する法令がありますので対応は必要です。詳しくはhttp://nigchizai.sakura.ne.jp/abs_tft/faq017/を御参照下さい。)

生物多様性条約発効(19931229)以前に入手した遺伝資源(注:詳しくはhttp://nig-chizai.sakura.ne.jp/abs_tft/faq026/を御参照下さい。)

出展:国立遺伝学研究所ABS対策チームHPより


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